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◆第1回:白紙プレイヤーの行動パターン

はじめに

1993年頃ファミ通で、あるゲームマンガ連載されていました。 ゲームデザイナーの卵「茶畑くん」が、 政財界のドンの右腕「鮫島さん」や 色々な人といっしょにゲームを作っていくお話です。 それが「あそびじゃないの」です。 「あそびじゃないの」はマンガとして面白いだけでなく、 楽しみながらゲーム製作の知識を得ることができる不朽の名作です。 第1回「あそびじゃないの」から学ぶゲームデザインでは 白紙のプレイヤーの行動パターンと、そこから発生する問題の解決案を考えます。 鮫島さんがゲームを初めてプレイするシーンがあります。 プレイするゲームは「トロルクエスト」という ドラクエとFFを混ぜたような架空のスーパーファミコンのRPGです。 この鮫島さんのプレイから、 まったく白紙のプレイヤーがどう行動するのかを学ぶことができます。

鮫島さんのプレイ内容

鮫島さんは敵に出会います。 戦闘画面へと切り替わり、
「しのスライム が あらわれた」 「ウサギルゲ が あらわれた」 「なまえ サメジマ LV1 HP 40/40 MP 10/10」
と表示され画面が停止します。 ここでAボタンを押さないとゲームが進まないのですが、 鮫島さんには何をしていいか分かりません。 この「トロルクエスト」には 「Aボタンを押してください」などの指示が欠落しているためです。 後ろで見ている茶畑くんがAボタンを押すように指示します。 しかし、鮫島さんには何がどのボタンかまったく分かりません。 Aボタンと聞いて、Bボタンを押してしまいますし、Xボタンも押してしまいます。 白紙のプレイヤーは、ゲーム内容どころか コントローラ自体の扱い方を理解していないのです。 3度目の正直でAボタンを探り当てた鮫島さん。 画面には
「たたかう」 「じゅもん」 「にげる」 「ぼうぎょ」 「どうぐ」
が表示されます。 さきほどAボタンを押してうまくいったため、 鮫島さんはさらにもう1回Aボタンを押して意図せず「たたかう」を選択します。 一度うまくいったので、同じことをしたのですね。
「サメジマのこうげき。ウサギルゲに1のダメージ」 「ウサギルゲのこうげき。サメジマに15のダメージ」 「しのスライムのこうげき。サメジマに18のダメージ」
サメジマのHPは40だったので40-18-15=7で瀕死ですね。 あと1発でも攻撃されると死んでしまいゲームオーバーになりますね。 私ならHPを回復するか、逃げることを考えます。 でも、鮫島さんにはHPが0になると ゲームオーバーというルールも分かりませんし、 HPを回復する手段が存在することも知りません。 「たたかう」以外を選べることも知らないかもしれませんし、 「たたかう」を選んでること自体も分からないかもしれないのです。 茶畑くんがHPを回復するよう後ろから指示を出します。 しかし茶畑くんの指示も届かず、 鮫島さんはAボタンを押して「たたかう」を選びます。
「サメジマのこうげき。ウサギルゲに1のダメージ」 「ウサギルゲのこうげき。サメジマに15のダメージ」 「あなたはしにました」
ゲームオーバーの曲が流れます。 鮫島さんの第一声は 「これでおわりですか?」 です。 なんとも自然な反応ですね。 はじめてゲームをプレイして、ルールが分からないどころか コントローラーの扱い方も分からない。 ゲーム内容を吸収し始めた段階でゲームオーバの文字を付きつけられたのです。 ごく自然な感想でしょう。

問題と解決案

今回の「あそびじゃないの」第一話の 「トロルクエスト」の問題点をおさらいしてみましょう。
  • プレイヤーにゲーム進行の指示を提示しなかった。
  • プレイヤーがコントローラの扱い方を知らなかった。
  • プレイヤーがゲームのルールを知らなかった。
  • ゲームの難易度が高すぎた
要約すると、この4つになります。 ないない尽くしですね。 では、この4つをどう対処すれば良いのでしょうか。

プレイヤーにゲーム進行の指示を提示しなかった。

画面が停止したときに「Aボタンを押してください」のメッセージを増やす。 できればAボタン以外のどんなボタンを押しても 進行するのが理想的だと思います。 コマンド選択の部分も、 「十字ボタンの上下で行動を選んでください」などの メッセージを増やせば良くなると思います。

プレイヤーがコントローラの扱い方を知らなかった。

ゲームに入る前に、簡単なコントローラの操作方法を教える場面を 用意してみるというのはどうでしょうか? もちろん、スキップもできないと既プレイヤーの負担になります。 またゲーム進行の指示の部分で、 「Aボタン」の文字の代わりに「Aボタン」の絵を用意して 押すように指示するアニメーションを表示すれば、 直感的に分かりやすくなるはずです。

プレイヤーがゲームのルールを知らなかった。

コントローラーの扱いと同様に、ルールを教える場面が必要になるでしょう。 できれば、ゲームを進めながら少しずつルールを理解できる作りが最適です。 スキップもできればベテランのプレイヤーにも対応できます。 ジャンル分けによって最低限のルールが確保されているという考え方は 白紙のプレイヤーにはまったく通用しません。 「RPG?なにその英語。」というのが当たり前です。

ゲームの難易度が高すぎた

難易度を下げれば良いんです。 白紙のプレイヤーにとって、 難易度の高さから来る歯ごたえを楽しんでいるヒマはありません。 まずプレイヤーがルールを理解することが最優先です。 ただし、ルールを理解したプレイヤーは 程よい難易度を要求してくることを忘れてはいけません。 できれば難易度を、プレイヤー自身である程度は操れると理想的です。 アクションゲームなどによくある、イージー、ハードモードなどです。

おわりに

第1回「あそびじゃないの」から学ぶゲームデザインはどうだったでしょうか?
  • ご意見・ご感想はこちらから 「あそびじゃないの」は復刊ドットコムで復刊リクエストされています。 読んでみたいと思う方はぜひ投票してくださいね。 現在、絶版になっている単行本では未収録の部分もかなりありますし。
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